
2006年3月某日 「ヒーロー」
息子がある新聞社から「ヒーローとは?」というインタビューを受けた。それ以前に学校で同じタイトルのエッセイを書かされたとき、私が小学校低学年で「尊敬する人物」というタイトルの作文に「私の母」としたのと偶然に同じく、息子は「僕の母」とした。
第三者的に読んでみたが、なかなか面白く中身がよろしいなぁと褒めたら「A+」というグレードをもらってきた。彼曰く、「相手が感動するようなタイトルと内容をエスプレッシーボで書けばA+になるに決まっているじゃないか」と笑っている。相手を見くびるんじゃない。自分が心から思ったこと、感動したことを書くんだよ。A+になるために書くんじゃないよ。
息子が書いた作文の内容を掻い摘むと、「母は誰一人として支えになってくれないことがわかっていても正しいと思うことをする人。ナポレオンもビスマルクも大軍を率いてアルプスを越え、成功すると計算した戦争に挑んだ。母はたった一人で、賛成する人を持たずに太平洋を越えた。彼女の娘(僕のお姉さん)はその時10歳でした。僕はそれがどんなことだったか想像もできないけれど、アメリカは彼女にとって巨人であったに違いない。子供を育てることに一番適している場所を探し当てたと信じて、姉をトップアーティストにする道を選んだ。異国人の中で立ち向かった。そして成功した。僕の目の前にいるヒーローだ」と。学校の先生は息子のエスプレッシーボに痛く感動されたらしい。
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